「労働者協同組合の研究」のページ‼ へようこそ。

「日本における労働者協同組合研究
の先駆者たち」(つづき)





インターネット事業団の編集。






 



◆更新(2025.06.13)
 ◇NEWS:新着情報(下線のついた年月日をクリックして、当該記事へ)

2025.07.07 ◇池上惇先生(京都大学名誉教授)から「労働者協同組合法」施行に当たってのメッセージ。
2025.06.13 ◇岡田弁護士へのお願いの交流
2025.06.08 ◇「私と労協の30年余――岡田尚顧問弁護士」からのメッセージ
本当に素晴らしい法になった労協法 労働者保護法適用、労働者が主人公を追求!「傘寿を祝う会」で講演、2025年1月24日、労協連本部にて。
――「日本労協新聞」(日本ワーカーズコープ連合会、2025年2月15日、1372号)

2025.06.08 ◇中川雄一郎さんのメッセージ:「労働者協同組合法の成立に寄せて――イギリス労働者協同組合運動の歴史に触れて」――「非営利・協同総合研究所 いのちとくらしニュース」(No.75、発行日2021年08月31日)、「労協法の成立 協同の可能性共有を」 (「日本農業新聞」、2020年12月21日)




2025年6月5日


「日本労協新聞」(日本ワーカーズコープ連合会、2025年2月15日、1372号)








(上をクリックしてPDFでお読みください)








◆更新▽2025年06月13日更新
 



 ▽先日(5月30日(金))、「一般社団法人 日本社会連帯機構の理事会」に初めて参加して、永戸祐三さんの本の普及について、旬報社の木内社長さんとお願いしてきた。

 
https://rentai.roukyou.gr.jp/

 同会議には岡田尚弁護士さんも出席していたので、「日本労協新聞」(2025年2月15日号)に掲載されていた「岡田尚顧問弁護士、傘寿を祝う会」での講演録について、インターネット事業団が作っているサイトにUPしておきたいとお願いして、快諾を受けた。

 その後の懇親会で、岡田さんから「労旬の本で中西五洲さんの『労働組合のロマン 苦悩する労働組合運動からのレポート』(1986年2月1日)も良かったし、もう1冊、西日本新聞労組委員長が書いて本も良かった、なんという題名だったか」と話されたので、その2冊は私が若い時に編集した本で『自己革新の旅――こころの時代の労働組合 、仕事はまじめに,要求はどん欲に,闘争は活発に、西日本新聞労組の経営民主化闘争の経験から』(1985年3月1日)ですと、話すと、「そうそう」と言われた。

   

    

 国労闘争や各種の争議団運動を支えたバリバリの「労働弁護士」から今から40年前の編集した本が参考になった、と聞き、びっくりした。
 

▽[追記]25年06月10日 岡田尚弁護士からの返信。
 旬報社といえば、1974年弁護士になったわたしにとっては、一番の学習対象でした。労働法や判例等の理論的なものに限らず、今崎暁巳さんの「コブだらけの勝利」から始まる争議のドキュメントはほぼ読みました。
  私の書いたものが、初めて旬報に掲載されたのは、3年目の1976年9月25日号(No912号)で全石油東亜石油事件で「協定未締結の少数第一組合員の賃金請求権の根拠」と題する川崎支部の決定解説でした。ご指摘の2冊は、弁護士10年を過ぎ、労働戦線も右翼化していく流れが明らかになり、総評弁護団が拠り所であった私にとって、何をどう考えるのか?となやんでいた時に一定の方向を指し示したもので、忘れられない本でした。また題名がよかったですね。手に取りたくなりますもの・・

    

▽編集子より――『コブだらけの勝利』は、私が貧乏学生で編集部のアシスタント中に、柳澤明朗さんの下で参加しております。
 それに、「インフォーマル組織」を追及した時(1980年代)には、「油研工業名」が表記されてい、「そうだったのか」と強く記憶しています。
2012年10月17日 (水):どこに消えた『サスコミ』グループ――インフォーマル組織物語Ⅸ
 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-d4b4.html


















 

2024.10.01
「田嶋 康利さん」(facebookの発信)
(2022年10月01日)


池上惇先生(京都大学名誉教授)から「労働者協同組合法」施行に当たってのメッセージ。

  
 ▽❖全国の皆さま方、本日はおめでとうございます。皆さまの日々の活動の長い間の積み重ねが、労働者協同組合法を実現したと考えております。本当にご苦労様でございました。
これからいよいよ、仕事おこしを開始しなければならないわけですね。労働者が自分たちで出資し、自分たちで仕事をおこすことができる権利を獲得したことは、歴史に残る金字塔をうちたてたということです。これは本当にすばらしいことであり、どうか自信をもって、新たな局面に立ち向かって頂きたいと考えております。
◎「共に創る」ことで地域を豊かにつくり変える
まず「共に創る」ということの大切さについて、申し上げたいと思います。即ちこれは、労働者協同組合と市民が、共に創るということであります。「共創」という言葉は、現代の経営学のなかでも流行の言葉になっており、共に創り出してこそ、価値あるものができるという考え方です。これは現在、国連のSDGsにも反映されている言葉です。
今や私企業といえども、公的な、あるいは社会的な事業を志さなければ存立しえない時代になりました。これは昔では考えられなかったことで、今や企業も政府も、民間の力、あるいは労働者の力に依存しなければ社会を構築できないわけです。今までは、民間企業に頼るか、民間企業が不況になったら政府に頼るということが当たり前でした。今は違うわけです。
労働者協同組合法が生まれたことは、皆さんが、皆さんご自身の力で「経営者」になることを意味しています。労働者協同組合法の施行は、労働者が地域社会の経営者になる歴史的な瞬間です。この瞬間において、「共に創る」という考え方が一番基本になってきます。「共に創る」ということは、市民と共に歩むということであり、市民の要望に正面から応えて仕事をおこし、地域を豊かにつくり変えていくということです。
◎地域の資源を活かし、地域で働く場を生み出す。
また「仕事をおこす」ことは、地域の資源を活かすということであります。地域には人材や産業などの資源があります。日本の地域には、伝統産業などを発展させてきた歴史をもっています。この歴史を研究し、地元の資源を活かして地域をつくっていくことに確信をもって、労協法時代の第一歩を踏み出していただきたいと思います。
またこのような仕事おこしは、地域で働く場を生み出すという、とても重要な意味をもちます。残念ながら今の日本社会では、多くの人々が地域を見放して、大都市へ、東京へと移動していきました。しかしコロナ禍のもとで、「それでは社会は成り立たない」ことがわかってきました。今の時代は、地域に根ざしてその資源を活かし、仕事をおこしていかなければ切り開けないのです。これはコロナが教えてくれた、非常に貴重な経験であります。
どうかこの機会に、市民と共に新しい地域をつくって頂きたいと思うわけです。
◎地域で仕事をおこし後継者を育てる
さてその過程では、後継者育成を大事にする必要があります。
日本の伝統産業の領域には、職人技をもった多くの人たちがおられます。これは国際的にも高く評価されており、例えば京都の丹後地方には有名な“丹後ちりめん”がありますが、これは今や世界的商品になっています。つまり素材が世界一流であり、しかもデザインが良いということで、世界中で大モテになっているわけです。
実は「自分の地元には何もない」「荒廃している」と思っている方が、たくさんいらっしゃいます。しかしどうかそのように考えないで、「地元の資源を活かすにはどうするか」「それを研究開発し、事業化したらどうなるか」というように考えて頂きたいのです。このような研究開発や事業化によって、地域に仕事が生まれることになれば、後継者が必ず育ちます。これは当たり前の話でありまして、仕事のないところでは、後継者を育てるのは難しいわけですよね。仕事があれば、後継者が育ちます。
福祉の仕事でも、農産物や海産物など物産を開発する仕事でも、様々なものを開発する力を、働く人々や市民はもっています。この力を活かせば、必ず地域が豊かになりますから、どうかそれを心がけていただきたいと思うのです。
◎学習・研究ができ文化を高める学校の建設
そして最後に、文化を高めることを大事にして頂きたいと思います。多くの方が地域を離れる最大の原因は、よい学校が地域にないからです。これは地域調査をやってみて、切実に感じております。
今までは、通信制の学校で、よいしくみをもつ学校はあまり存在しませんでした。しかし地元に居ながら通信制で学ぶことができ、しかも学生を支援する先生が地元にいるような学校を労働者協同組合がつくったとしたら、地域の未来は洋々たるものであります。どうか、地域において文化を高める日本初の学校を、労働者協同組合と市民の「共創」の第一歩にしていただきたいと思います。
地元において、学習・研究ができ、文化を高める学校や大学を創ることは、地元にとって非常に大きな魅力になり、これからの社会に大きな希望がうまれます。これは皆さま方の力量をもってすれば、決してできないことではありません。これからの時代において、学校・大学づくりや文化を高めることも視野に入れて、活躍されることを祈念しております。






2025年6月8日
 




◆「中川雄一郎のページ」(明治大学名誉教授)









◆更新▽2021年09月12日更新
 


◆2020年12月4日に労働者協同組合法が成立し、12月11日に公布された。協同組合の関連法としては42年ぶりの成立である。かつてこの労働者協同組合法(以下、労協法)の制定運動に関わったことのある私にとっても、これは大きな喜びである。また大高研道明治大学教授が協同組合研究誌[季刊]『にじ』(2021 SUMMER No.676)に組まれた「特集:労働者協同組合法と協同組合ネットワークの再構築―協同労働の地域的展開にむけて―」の前書きで語った次の言葉も、私には大きな意味を持つものである:「(42年ぶりという)この年月は、一方で、競争と経済成長を基軸とした資本主義生産様式に重きを置いたわが国の社会・経済政策に『協同』を基本原理とする協同組合組織・事業体の役割が明確に位置づけられてこなかったことを意味する」(1)。そしてさらに大高教授はこう論じた(2)。

 また労協法には、協同組合界全体の過去・現在・未来を包含するあらゆる要素が凝縮しているともいえる。法律の成立はむしろ出発点であり、これから検討しなければならない課題は多い。それは労協運動の連続性と非連続性、つまり、これまで労協(延いては協同組合)が大切にしてきた価値・思想を大切にするという意味での連続性と、新しく参入する組織が多様な発想や創造力を持ち込み、活性化させるという意味での非連続性という両面性を射程に入れた議論が求められていることを意味する。(中略)

 既存の協同組合においても、たとえば近年、困窮者支援や子ども食堂などに取り組む生協が増えているが、労協法成立を踏まえて、改めて協同組合間提携・協同の新たな展開の芽が生まれることが想定される。また組合員活動の延長線上に労協設立という選択肢も考えられるであろう。設立支援という観点からは、信用協同組合(労金、信金等)による資金面での連携・協力も重要なテーマになる。さらに地域づくりという側面では、労協法第一条において「持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする」と記されているように、地域の現実とニーズに即した多様で主体的な住民の仕事づくりが目指されることになるが、特に第一次産業にかかわる協同組合(農協・漁協・森林組合等)との連携も重要な課題となってくるであろう。(後略)

 私は、このような特性と可能性を内包している労協が労協法に基づいて実際にその事業と運動をどう展開し、それらの成果と能力をどう発展させ、蓄積していくのだろうか、しばし考えてみた。そしてその時に私が参考にした資料が、1999年11月に東京において開催された「労働者協同組合研究 国際フォーラム」で報告された、今は亡き(労働者協同組合連合会元会長)菅野(かんの)正純(まさずみ)氏の「協同の新しい可能性に向かって」であった。

 私は、あの国際フォーラムでの菅野氏の報告からおよそ21年後の2020年12月21日付け日本農業新聞の『論点』欄に「労協法の成立:協同の可能性共有を」と題した一文を草し、そのなかで「菅野氏の報告」の一部を書き記しておいた(3)。「協同の新しい可能性に向かって」と題する菅野氏の報告は、今読み直しても近未来的な「労協の理念」とでもいうべき適正さを強く示唆するものである。すなわち、

 ① 協同労働は雇用労働に代わる選択肢である。② この選択肢を保障する社会制度を創り出すことの必要性。③ 21世紀を目前にして、労協は組合員の利益のみならず、地域コミュニティと社会全体の利益を追求する「21世紀型協同組合」としての「新しいワーカーズコープの法制度」を提案し、ボランティアや利用者と共に組合員が協同する協同組合を、またハンディキャップを持つ人も組合員となり、かつ労働する主人公になっていく協同組合を目指す。④ これからの時代は、若者たちが人びとの共感のなかで自分らしい仕事を見出し、自分らしい人生を切り開いていくための「援助のための基金」が重要な課題として労協に求められるであろう。

 さらに菅野氏は、④の「援助のための基金」についてこう言及した:労協はその「公共的使命」のための「新しい労協財政のあり方」を追求していく。それは、「組合員の営々たる労働のなかで作り出された剰余金、就労創出の積立金、福祉基金、それに教育基金」を組合員だけでなく地域コミュニティの他の人たちも利用できる「新たな仕事起こしを実践する連帯支援資金」となるだろう。

 菅野氏のこの労協アイデンティティについて、すなわち、労協が労協である所以(ゆえん)について、「自立した個人は社会で生きる自覚を意識する」とのヘーゲルの「承認の必要性」を援用して言い換えるならば、次のように表現できるかもしれない:市民の「労協に対する期待」、市民のために「労協の果たすべき役割」、そして市民と共に「労協のなし得ること」の実体を明らかにすることである。要するに、「協同労働」が「生活と人間性に不可分な労働である」と人びとによって認識されるのであれば、労協こそ「労働者の裁量と自律性を発揮するのに相応しい『場』である」と、言うことになるだろう。

 1980年10月に開催された第27回ICA(国際協同組合同盟)モスクワ大会で採択された『レイドロー報告』(『西暦2000年における協同組合』Co-operatives in the Year 2000)第V章「将来の選択・第2優先分野:生産的労働のための協同組合」(Co-operatives for Productive Labour)は大きな関心を呼んだ。それはレイドロー自身が述べた次の主張に見て取れる(4)。

 労働者協同組合は、雇用や所有者感覚よりももっと深い内面的なニーズ、すなわち、人間に特有な個性と労働との関係に触れることになる。   1978年に開催された「西暦2000年への挑戦」と題するユネスコの会議で、ブカレスト大学教授は、肉体労働と知的労働の適正な調和を図ることの必要性と、あらゆる最高の価値基準のなかに労働の観念を生活や人格形成に不可欠なものとして取り上げる必要性について述べている。労働者協同組合に関わるこの思考は、従来の伝統的な被雇用者と作業場の関係とを比べてみれば、教授の発言の趣旨にはるかに近いものである。

 ところで私は、上記「菅野氏の①~④の報告」を書きながら、イギリス産業革命後期における生産者協同組合をめぐる労働制度について――1891年に『イギリスにおける協同組合運動』を著わした――ベアトリス・ウェッブと対立し論争したキリスト教社会主義者J.M.ラドローの主張を思い出していた。彼はTracts on Christian Socialismでこう強調した(5)。

 今やわれわれの任務は、キリスト教社会主義者の目的がいかなる機構によって成し遂げられるのかを明らかにすることである。すなわち、労働者はどのようにして競争制度の下での個人的労働の束縛から自らを解放することができるのか、また自らを解放するために他の人たちの援助を得ることができるのか、あるいは少なくとも現在どの程度まで労働者は誠実な同胞関係(fellowship)によってその弊害を軽減できるのか、ということなのである。この機構を他の人たちに提示する際にわれわれは、社会を車輪やスプリングの単なる集合と見なし、生きた人間の協力関係(partnership)と見なさず、また社会に活気を与える形式のみを考慮して、その精神を考慮しない社会機構の盲目的崇拝に異議を唱えなければならない。

 ラドローがここで主張していたことは、“競争制度の下に置かれている個々の労働者は、いかにして労働の束縛から解放されるのか”、“労働者は、労働の束縛から自らを解放するために、いかにして他の人たちの援助を得ることができるのか”、そして“労働者は誠実な同胞関係、すなわち、連帯意識を以てすれば、競争制度の弊害を軽減することができるのか”、ということであった。簡潔に言えば、“資本主義的競争下において労働者はどうすれば「協同労働」を実現することができるのか”、である。ラドローは、1848年から1850年初期にかけて、キリスト教社会主義思想に基づいた「協同労働の実現」のための社会改革を唱え、「労働を基礎とする社会的な人間関係のあり様はいかにあるべきか」を人びとに問いかけた。こうしてラドローは、同じキリスト教社会主義者のE.V.ニールやトマス・ヒューズなどと共に労働者生産協同組合運動を支援したのである。

 他方、あのロッチデール公正先駆者組合は1854年までに生産事業の「小麦製粉」から手を引き、購買協同組合としてその精力を費やしていった。すなわち、先駆者組合は一時、その発展・成長を背景に、設立10年後の1854年10月の総会において新規約である「1854年規約第2条」に「先駆者組合の目的」として次のような文言を付したのである(6):「本協同組合の目的は、一般の商人(dealers)の取り引きと同じように経営することにより、組合員が食料品、燃料品、衣料品、あるいはその他の生活必需品をより有利に購入できるようにする基金を組合員の自発的出資により調達することである」、と。

 これに対して、ラドロー、ニール、そしてヒューズなどを中心とするキリスト教社会主義者たちは、彼らの努力を「協同組合法」の成立に注いだ。こうして彼らの努力により1852年に世界最初の近代協同組合法「産業および節約組合法」(〈The Industrial and Provident Societies Act〉―正確に訳すと「産業労働および共済組合法」であるかも知れない)が成立する。日本では余り知られていないが、この時に重要な役割を果たしたのが国会議員であったあのジョン・スチュアート・ミルである。また法律制定に協力した主要な国会議員はほとんど保守党の議員であり、自由党の議員は誠に以て非協力的であった。この当時の自由党支持者の中心は企業経営者であったからであろう。今ではほとんど耳にすることがなくなってしまったが、かつてのイギリスでは時として「トーリー的民主主義」との言葉が行き交うことがあったのである。こうして1852年に「産業および節約組合法」が成立するのであり、そしてこの協同組合法は、三人の法廷弁護士(barrister)によって、すなわち、ニールが責任者となり、ラドローとヒューズが彼を支えて書き上げた法案に基づいているのである。

 紙幅の都合でこれ以上、イギリスの労働者協同組合に関わる歴史を語ることができないが、私としては、先進諸国における現代労働者協同組合が幅広い運動を実践していることから、改めて先進諸国の現代労働者協同組合の歴史と現状を研究し、労協運動の社会的、経済的、文化的な発展可能性を論究していきたいと思っている。よりよき社会を追い求めて奮闘してきた菅野正純氏に後れを取らぬように。


 (1) 大高研道「特集解題:労働者協同組合法と協同組合ネットワークの再構築―協同労働の地域的展開にむけて―」〔季刊〕『にじ』2021 SUMMER No.676(一般社団法人 日本協同組合連携機構)、2頁。
 (2) 同上、3頁。
 (3) 論点「労協法の成立:協同の可能性共有を」日本農業新聞、2020年12月21日(月)。
 (4) 日本協同組合学会訳編『西暦2000年における協同組合』日本経済評論社、162頁。
(5) Tracts on Christian Socialism, No. V, p.1.
(6) Laws for the Government of the Rochdale Society of Equitable Pioneers, Rochdale, 1855, p.3.




2021年02月03日更新

◆労協法の成立 協同の可能性共有を (2020年12月21日、「日本農業新聞」WEB版)

   
 12月4日、参院本会議において「労働者協同組合法」(労協法)が全会一致で成立した。私にとっても待ちに待った法案の成立である。

 早速私は「法案概要」を取り出して「第1・目的」と「第2・労働者協同組合」に目を通し、この労協法の根本に「協同労働」という概念が示唆されていることを見て取った。

 具体的には、①組合員による出資、②組合員の意見が反映された事業の遂行、③組合員自らが事業に従事することを基本原理とし、多様な就労の機会を創り出す、④地域における多様な希望・要求(需要)に応じた事業を行う、⑤持続可能で活力ある地域社会の実現に資する──である。なお、労協法は届け出れば設立できる「準則主義」であることも付け加えておこう。
   
   役割一層重要に
 
 この法案概要を見て、私は1999年11月に開かれた「労働者協同組合研究 国際フォーラム」での日本労働者協同組合連合会の元理事長、故・菅野正純氏の報告を思い起こした。

 「協同の新しい可能性に向かって」と題した報告で、菅野氏は次のように提起した。①協同労働は雇用労働に代わる選択肢である②この選択肢を保障する社会制度を創り出すことの必要性③21世紀を目前にして、労協は組合員の利益のみならず、地域コミュニティーと社会全体の利益を追求する「21世紀型協同組合」としての「新しいワーカーズコープの法制度」を提案し、ボランティアや利用者と共に組合員が協同する協同組合、ハンディキャップを持つ人も組合員となり、労働する主人公になっていく協同組合を目指す④若者たちが人々の共感の中で自分らしい仕事を見いだして自分らしい人生を切り開いていくことへの援助が、これからの時代には重要な課題として労協に求められるだろう。

 そして、菅野氏はこの援助のための基金にこう言及した。労協はその「公共的な使命」に対応する「新しい労協財政のあり方」を追求していく。それは、「組合員の営々たる労働のなかで作り出された剰余金、就労創出の積立金、福祉基金、それに教育基金」を組合員だけでなく、地域の他の人々も利用できる「新たな仕事起こしを実践する連帯支援資金」となるだろう。
  
   「労働者本位」へ

 菅野氏のこの「労協アイデンティティー」をヘーゲル哲学の「自立した個人は社会で生きる自覚を意識する」人々相互の「承認の必要性」を借りて言えば、人々にとって「労協に対する期待」「労協の果たすべき役割」「労協のなし得ること」とは何であるのかはおのずと明白になっていく、と私はひそかに思っている。その意味でも協同労働は「生活と人間性に不可分な労働」としての「労働者の裁量と自律性」を発揮するのにふさわしい「場」である、と私は確信している。

 ▽なかがわ・ゆういちろう 1946年静岡県生まれ。明治大学名誉教授。元日本協同組合学会会長。ロバアト・オウエン協会会長。著書『協同組合のコモン・センス』『協同組合は「未来の創造者」になれるか』(編著)などがある。     







❖目次




 
   



 







❖あとがき




 
   





◆更新(2025.05.26)


◇橋本吉広さんの発信(facebook 2025年03月21日)
◆松本典子著『労働者協同組合とは何か?』は、218頁と学術書としては厚い本ではないが、最後まで読み通して、“よくぞ、ここまで広く、かつ深い内容を一冊にまとめあげたことよ!”と、しばし充実感にひたった。
難解というにはほど遠いが、かといって平明なだけではなく、私などの問題意識にも、手回しよくしっかりと著者の見解が示されており、良質な料理を食したときの満足感に通じる。
 1980年代以降の市民活動、市民事業の展開と今後の見通しのなかに労働者協同組合を据えることにより、この時期に併走した労働者協同組合運動(ワーカーズコレクティブとワーカーズコープの二つの系譜)の意義(と制約)に光をあて、その先に労働者協同組合が解かねばならない課題を提起し、その達成への理論的、政策的な示唆が与えられる。日本における労働者協同組合研究の一里塚というに値するのではないか(私などが、こう言っても何の権威づけにもならないが)。
 著者自身、「おわりに」で本書の位置づけについて、次のように述べている。
 「労働者協同組合運動は、2020年以降(労働者協同組合法制定の年:橋本注)、次のフェーズに入ったといえる。つまり、これまで以上に労働者協同組合への注目が集まる中、労働者協同組合の現代的意義・役割やその経営について、より深い研究が求められるようになった。そのような中、本書は先行研究を踏まえて、過渡期における労働者協同組合の現状や課題を整理してきた」。
 そして、「労働者協同組合が、資本主義システムに少しずつでも変化を与えられるかは、日々の生活者や労働者である組合員1人ひとりの実践にかかっている。すなわち、組合員が主体的に声を発することができるかにかかっている。労働者協同組合とはそのような組織である」と結ばれている。著者の労働者協同組合運動への深い思いが伝わってくるが、このことは労協に限らず協同組合のすべてに当てはまると思う。
 褒めるだけでは、次への糧にならないと思うので、ひと言、著者への期待を書き添えておきたい。
 本書は「主に1980年代以降に展開されてきた日本の労働者協同組合を研究対象とし、その運営上の課題をあきらかにした上で、今後の発展に必要な要素をあきらかにしていく」ことを目的にしているが、できるなら、1900年の産業組合法成立にまで遡り、日本における生産協同組合の曲折の歩みのなかに2020年労働者協同組合法制定を位置づけることで、この法律の歴史的な意義を明らかにし、もう少し長いスパンで見て、大転換期といわれる現代と、その先に拓く労働者協同組合の未来をより深く探究し続けて欲しい。
 彼女は、協同組合関連文献・図書のライブリアンであった古桑実氏から私が譲り受けたG.D.H..コール『協同組合運動の一世紀』(家の光協会、1975年)を引き継いだ前途有望な研究者なのだから。(写真は、読みながら付箋を貼っていったら付箋だらけになって頁をめくるにも不便なほどのいただいた本)
















2025年5月28日








❖はじめに




 
 
 
   






❖目 次







 





❖あとがき





 
 












2025年5月28日


❖松澤常夫さんが執筆した岩波ブックレット


 

     △上記の図版をクリックして新ページへ。










▽新しい時代の新しい働きかた ワーカーズコープ 岩波ブックレットより
『<必要>から始める仕事おこし ―「協同労働」の可能性―』 2月4日刊行。
地域や暮らしに必要な仕事は自分たちでつくる!
 新しい働き方、「協同労働」を日本の社会へ。
雇われて、言われた仕事をさばくのではなく、
一人ひとりが主体的に働き、豊かな地域社会をつくり出す、
「協同労働」という働き方が今、身近なものになろうとしています。

 新しい働き方、「協同労働」とは?
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会(以下、ワーカーズコープ連合会)は、
2022年10月1日の労働者協同組合法(以下、労協法)施行を目前に控え、
岩波ブックレットより、『〈必要〉から始める仕事おこし 「協同労働」の可能性』を
2月4日に刊行しました。
労協法の施行により、雇われて、言われた仕事をさばくのではなく、
働く一人ひとりが主体者となり、
お互いの意見を尊重し合いながら、地域社会が必要としている仕事をおこす、
「協同労働」という働き方が身近なものになります。

元々は戦後の中高年失業者問題への取り組みから始まったワーカーズコープ連合会。
それがどのように「協同労働」という新しい働き方を生み出すことに至ったのか?
その経緯を紐解きながら、
その実践の中から生まれた労協法の意義と必然性を詳述します。
協同労働の具体的な実践事例も満載です。現在のコロナ禍による失業問題や、
エッセンシャルワークの重要性が再認識される今の世の中に一石を投じ、
改めて自分らしくはたらくこと・生きることの意味を問う一冊です。


目 次

はじめに
第1章 「協同労働」はどのように生み出されたのか
第2章 「労働者協同組合法」がもたらすもの
第3章 「協同労働」の現場を見るー豊かな実践から
第4章 日本社会を足元から変える

日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 団体概要

設立 1979年9月
代表 理事長 古村伸宏
本部所在地 東京都豊島区東池袋1丁目44-3 池袋ISPタマビル7階
事業内容 労働者協同組合の会員に関する代表機能、
情報交流、事業支援、人材育成等
ホームページ https://jwcu.coop/


本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
日本労働者協同組合(ワースコープ)連合会 
広報担当 :小林・岡安・田村
TEL : 03-6907-8040
E-mail : jwcu-pr@roukyou.gr.jp




2025年5月28日








❖目 次












以下をクリックしてお読みください。














❖Photo(五味明憲:撮影)




 
 



▽2025.03.05





手島繁一が編集!
『ワーカーズコープの挑戦――先進資本主義国の労働者協同組合』
(日本労働者協同組合連合会編、労働旬報社、1993年05月、46判上製)




●内容紹介●:目次





巻頭論文:労働者協同組合=ワーカーズ・コープの意義と可能性  
                       手島繁一(法政大学講師)
EC統合に立ち向かうレガの新戦略      
 手島繁一(法政大学講師)


2025年5月28日














❖目 次




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 編集人:飯島信吾
ブログ:ある編集者のブログ
企画・制作:インターネット事業団 のページ
企画・制作 インターネット事業団(本メールにご連絡ください)
U P 2021年02月09日
更新 2025年05月26日
更新 2025年05月28日